INTERVIEW
2023.01.10UP
いろんな人を巻き込み、繋げていく。クリニクラウン流活動の続け方

クリニクラウンを知らなかった人に繋ぐORGABITS

クマちゃん:人との繋がりという観点で言うと、ORGABITSさんは私たちの活動を知らなかった人と繋いでくれるなと思っています。

鎌田:そうですね。ORGABITSさんとクリニクラウンさんは何がきっかけでご縁ができたのでしょうか。長いお付き合いなのですよね?

トンちゃん:2011年からのご縁なので、もう10年以上になります。2010年に『「こども時間」を届ける臨床道化師-瞬間を生きる子どもたち』と言う本が出たのですが、ORGABITSを始めた溝口さんがその本を読んでいきなりご連絡をくださったんですよ。それで活動の説明をしたら「応援しなくちゃ」と言ってくださって。

八木:その当時はORGABITSも始まったばかりで、商品に紐づけて団体さんに寄付する仕組みもそれほど整っていなかったんですよね。クリニクラウンさんとともに、この仕組みを作ってきたような感じです。

クマちゃん:お洋服を買うと売上から寄付をされるという仕組みで、クリニクラウンを知らない人と私たちを繋げてくださるのが本当にうれしいと思っています。クリニクラウンに関心がある人はホームページを見てくださるけれど、存在を知らない人とは繋がれませんから。スペシャル商品を作ってくださったこともありましたよね。

八木:キッズ商品とコラボレーションしてスペシャル商品を作っていただき、1枚売れるごとに10円をクリニクラウンさんに寄付したんですよね。

クマちゃん:かわいい商品を色々と作ってくださって。コロナ前はイベントもやっていただきました。コロナ禍になってもインスタグラムでイベントをやっていただきましたよね。

八木:ライフスタイルブランドのcoenさんの店舗の前で、coenさんのキャラクターのうちわを配りつつ皿回しなどをしていただいて、来店したお客さんとクリニクラウンさんで遊んでもらうイベントをやりましたね。2018年でしょうか。コロナ禍でのSNS投稿キャンペーンでは、インスタグラムで赤い鼻をつけた写真を指定ハッシュタグ「レッドノーズデー2021」と付けて投稿すると1点につき500円の寄付するという取り組みでしたね。私自身がORGABITSの担当になって「さあ、イベントをやるぞ」と思ったタイミングでコロナになってしまったので、ちょうど運用をしていたORGABITSのインスタグラムをうまく使えないかと考えました。

クマちゃん:ペットの犬や猫に赤い鼻をつけて投稿する人がたくさんいましたね。「わんちゃんかわいい!」と目を引いて、ハッシュタグを見て何だろうと思い、クリニクラウンを知ってくださる方がたくさんいました。私たちの活動は色々な方に応援してもらいながらやっているのに、コロナによってそういった啓発活動ができなくなってしまったので、ORGABITSさんの応援は本当にありがたいと感じています。

鎌田:ORGABITSは、「ちょっといいこと」に一歩を踏み出すきっかけを作っているのですね。すてきな洋服や、楽しい取り組みを通じてクリニクラウンさんに協力できることは、参加する人にとっても楽しいことですよね。

八木:クリニクラウンさんの活動は、こども向けブランドさんからの共感が強いんです。こども服のブランドコンセプトとして、服を通してこどもに教育的な要素を提供したいと考えているところは多いのですが、服や素材、環境の話に加えてクリニクラウンさんのような社会的なメッセージを伝えられたらすてきだと感じてくださるようです。そして、継続的に支援を続けてくれるブランドさんも多いんですよね。coenさんはホームページにクリニクラウンさんの特設ページを設けてくださっているんですよ。

鎌田:ブランドさんにとってもいい機会になっているのですね。

興味を持ってくれる人、知ってくれる人がいることの大切さ

鎌田:2004年12月に発足なさってから12年が経ちますが、今後何かやりたいことはありますか?

トンちゃん:とにかくこの活動を継続できれば、と思っています。私が天国に行っても空から「ああ、繋がっているなぁ」と実感したいですね(笑)。やはり、みなさんとても熱心にやってくださっているけれど、日本ではまだボランタリーの活動なんですよ。最初は手弁当でやっていて、最近はいろんな企業さんや個人の皆さんに応援をいただいて、ようやく少し謝礼が出せるようになってきたような状況です。でも、オランダでは、クリニクラウンは職業なんです。この活動は自己研鑽が非常に重要だと感じているのですが、オランダではクリニクラウンとして週4日働けばあとは自己研鑽に時間を使っても食べていける。事務スタッフも二十数名いて、それを全国民が支えているのです。高収入でなくてもいいから、日本でもクリニクラウンが職業として定着していったらいいですね。

クマちゃん:応援してくれる方がいないと、私たちは活動を続けることができません。また、クリニクラウンを受け入れてくれる病院や、いいと思ってくださるご家族がいなければ、こどもと出会うこともできません。私たちは「すべてのこどもがこどもらしく過ごせる社会」を目指しているので、そんな社会を作るためにもまずは知ってもらうこと、興味を持ってもらうことが大事だと思っています。ORGABITSさんが「オーガニックコットン100%ではなくて10%でいいんだ、まずは使おうよ」という発想で活動を始めたことにならって、私たちもちょっとずつ応援団を増やせたらいいなと思っています。

鎌田&八木:これからも良い関係を続けていきたいです。どうぞよろしくお願いいたします!

GUEST
石井裕子さん/熊谷恵利子さん認定NPO法人日本クリニクラウン協会
<石井裕子(いしいひろこ)さん>
認定NPO法人日本クリニクラウン協会 クリニクラウンディレクター
クリニクラウンネーム:トンちゃん
1949年生まれ。島根県出身。
2000年にアメリカのクラウンキャンプにてケアリングクラウンを受講。
その奥深さに興味を持ち続け、その後日本クリニクラウン協会設立委員として、2005年にクリニクラウンの研修をオランダで受ける。
2005年10月の法人設立当初より、クリニクラウン養成トレーナーを担当。2013年に理事に就任現在クリニクラウンディレクターとして、愛のエネルギーを楽しみながら振りまき、新たな出逢いに胸踊らせている。

<熊谷恵利子(くまがいえりこ)さん>
認定NPO法人日本クリニクラウン協会 事務局長
クリニクラウンネーム:くま
1975年生まれ。大学在学中にノンバーバルコミュニケーションに関心を持ち、パントマイムの世界へ。パントマイム劇団の劇団員として活動をする中、こどもの人権にかかわるNPOや男女協働参画センターで非常勤スタッフとして勤務。これまでの経験を活かし、日本で初めて養成された認定クリニクラウン(第1期生/認定2006年3月)の一人として、2005年から全国の小児病棟へ。より活動を支えていきたいと2009年度より事務局スタッフを兼務し、クリニクラウン東北支援事業の立ち上げや、啓発事業にも取り組む。2019年に事務局長に就任し、後進の育成や協会の組織基盤を強化するために奔走している。

INTERVIEWER
鎌田安里紗
「多様性のある健康的なファッション産業に」をビジョンに掲げる一般社団法人unistepsの共同代表をつとめ、衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。種から綿を育てて服をつくる「服のたね」、衣食住やものづくりについて探究するオンラインコミュニティ「Little Life Lab」など。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。
Instagram: arisa_kamada
INTERVIEWER
八木修介
豊島株式会社営業企画室所属、ORGABITSディレクター。1992年生まれ、神奈川県川崎市出身。慶應義塾大学文学部を卒業後2015年に豊島に入社。人事部にて2年間新卒採用担当として採用面接や企業説明会に従事。その後営業部署に異動し、ワーキングアパレル領域の営業を担当。生産管理で中国やASEANの奥地に入り込み、ピーク時には年間100日ほど海外出張。その後2019年から現部署にてオーガニックコットンを中心としたサステナブル素材を担当。物心ついた頃からの趣味はサッカー。
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