INTERVIEW
2023.01.10UP
いろんな人を巻き込み、繋げていく。クリニクラウン流活動の続け方

「わあ、ピエロ!」
赤い鼻をつけた道化師が、病院に入院しているこどもたちを訪問すると、こどもたちが病室とは思えないような、いきいきとした目の輝きを見せる……認定NPO法人日本クリニクラウン協会というORGABITS(オーガビッツ)が支援している団体の活動の様子です。
 みんなで “ちょっと(bits)ずつ” 地球環境や生産者に貢献しようという想いから始まったORGABITSは、賛同くださったブランド様とのコラボ商品が1点売れるごとに、10円をNPO法人や慈善団体に寄付するという、洋服を通じた「ちょっといいことをする」仕組みを作っています。クリニクラウンは、その仕組みが始まった時からずっとORGABITSが応援している団体。
 知ればきっと応援したくなる、クリニクラウンさんのことをもっと知ってもらいたい。そんな思いで、ORGABITSアンバサダーの鎌田安里紗さんと、ORGABITSディレクターの八木修介が、クリニクラウンのトンちゃんこと石井裕子(いしいひろこ)さんと、クマちゃんこと熊谷恵利子(くまがいえりこ)さんにお話をお聞きしました。

オランダ総領事館の紹介で始まった日本のクリニクラウン

鎌田安里紗さん(ORGABITSアンバサダー/以下、鎌田):先ほど活動の様子を見せていただきましたが、あっという間に時間が経ってしまってびっくりしました。新型コロナウイルスの影響で、今日は東京の病院と大阪のここをZoomで繋いでの遊びの時間でしたが、画面に向かってみんなとても楽しそうに遊んでいましたね!看護師さんも巻き込んで暖かい雰囲気が生まれていて、見ている私も楽しくなりました。

熊谷恵利子さん(クリニクラウン/以下、クマちゃん):Zoomって大人にとっては会議のツールなので、どうやって遊ぶんだろうかと疑問に思うんですが、クリニクラウンとの遊びが始まるとこどもはすぐに理解してどんどん画面に向かって一緒に遊びをつくっていくんですよね。

鎌田:クリニクラウンさんはこうやって遊びを病院に届ける活動をなさっているのですよね。

クマちゃん:はい、「すべてのこどもにこども時間を」をミッションに、赤い鼻をつけた道化師クリニクラウンが入院しているこどもたちを訪問する活動をしています。入院生活は、特に最初は緊張感が高いものですし、慣れていくと今度は大人に囲まれる生活で、「しっかりしなくちゃ」「迷惑をかけてはいけない」などと思って変に大人びてしまったり、痛いことや辛いことが続くのを我慢しているせいで感情の起伏がなくなったり、人との出会いが少ないためにコミュニケーション能力が下がってしまったり、何に対しても関心を持てなくなってしまったりします。こどもらしくいられなくなってしまう子がたくさんいるんです。そこにクリニクラウンが行くと、クリニクラウンにいたずらしてみようとか、次はどんなことで楽しめるんだろうなどと、いろんな気持ちが出てくるんですよね。

八木修介(ORGABITSディレクター/以下、八木):さっきのこどもたちの様子を見ても、クリニクラウンさんの訪問は、こどもにとって貴重な時間なのだと感じます。活動はどういった経緯で始まったのでしょうか。

石井裕子さん(クリニクラウン/以下、トンちゃん):2004年に大阪のオランダ総領事館の方が「日本は医療が非常に進んでいるのに、小児病棟にクラウンがいない」とおっしゃって、文化紹介として日本にクリニクラウンを紹介してくれました。欧米では、当時すでにこどもの成長を支援するためのクラウンが小児病棟で活躍するのが当たり前にだったんですよね。私はその頃ケアリングクラウンという、病院・老人ホームなどで心のケアをする道化師の活動をしていたので、その文化紹介時に声がかかったんです。

クマちゃん:文化紹介の時に、オランダのクリニクラウンが実際に病院を訪問したのですが、オランダのクラウンだから日本語は話せないでしょう?なのに、クラウンがこどもたちと一緒に遊んでくれたら、その子が声をあげて喜んだ。それを見て、ドクターたちが「一生懸命に治療をしているけれど、こどもにとって大事なことはそれだけではない」と、医療関係者などが集まってNPOが立ち上がりました。トンちゃんは立ち上げメンバーとして、オランダでトレーナーになるための研修を受けたのです。

トンちゃん:クマちゃんはその後、クリニクラウンを募集したときの1期生です。70名くらいの応募があって、オーディションを行なって最終的に残った4名の1人でした。

鎌田:狭き門なのですね。

トンちゃん:「人の役に立ちたい」と応募してくださる方が多いのですが、なかなか難しいんです。大人相手ではないですし、こどもと向き合ってその子の「こども時間」を豊かにするには、ある意味で「スーパーこども」にならないといけない。かと言って、単にこどもっぽいだけでは、嘘だなとこどもに見破られてしまいます。

クマちゃん:病院には笑顔でなければいけないと無理しているこどももいるのです。クリニクラウンが表情豊かに「えー!?」「くやしー!!」などと自分を出すことで、こどもたちに感情を出していいんだと伝え、いつもと違ういろんな表情を見せてくれることがあります。そのため、クリニクラウンには自分を出せることも求められます。

トンちゃん:でも、「こんなパフォーマンスができるから見て、見て」と、見せたい欲求が強く、拍手されたいクラウンでは困ってしまうんですよね。

クマちゃん:パフォーマンスはできるに越したことはないですが、ケアの気持ちが必要なんです。看護師など対人援助の経験があるメンバーは、パフォーマンス力は強くなくても、すっとこどもの心に入り込める力を持っています。いろんな特性がある人がクリニクラウンになりたいとオーディションを受け、半年トレーニングに参加した後、先輩クラウンと病院の現場に行く研修があります。でも、その過程で、自分の課題が見つかったり、覚悟が足りなかったと気づいたり、芯が揺らいでしまったりして、続けられない人もいるんですよね。やはり病院での活動ですから。

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