INTERVIEW
2020.08.27UP
プラス数十円で世界平和を買おう。古着でデロリアンを走らせた日本環境設計が考える、「ちょっと」の踏み出し方

「ORGABITS(オーガビッツ)​」は、みんなで“ちょっと(bits)ずつ”地球環境や生産者に貢献しようという想いから2005年に始まったオーガニックコットン普及プロジェクト。そこから生まれた「BITS MAGAZINE~ちょっといいことしてるヒト。~」では、ORGABITSチームによる「ちょっといいこと」を実践し続けている方々へのインタビュー記事を掲載していきます。
2本目の記事のゲストは日本環境設計株式会社 取締役会長の岩元美智彦さん。日本環境設計株式会社は、古着から再生したエタノールで映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する車「デロリアン」を走らせることで映画のワンシーンを再現したり、古着を再生したリサイクルポリエステルで高機能なTシャツを作ったり、JALと協力して古着を原料に飛行機用のバイオジェット燃料の製造を実現したりと、さまざまなおもしろい取り組みをしています。
多様な取り組みをなさっていますが、2007年に「あらゆるものを循環させたい」と創業した最初のきっかけは、「ふとした気づき」だったそうです。それから13年間で積み重ねてきたことと、岩元さんが見ている未来を聞きました。聞き手は、ORGABITSアンバサダーの鎌田安里紗さんと、ORGABITSプロデューサーの小出大二朗です。

創業につながった、小さなきっかけ

鎌田安里紗さん(ORGABITSアンバサダー/以下、敬称略):日本環境設計さんの創業は2007年ですよね。今は環境に関心のある人が増えていますが、その当時は今ほどではなかったと思います。そのタイミングで岩元さんがリサイクルの事業を始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

岩元美智彦さん(日本環境設計 取締役会長/以下、敬称略):当時、サトウキビやとうもろこしでバイオ燃料を作るという話題が新聞によく取り上げられていたんです。それで、その頃知り合った今の代表取締役社長の髙尾(正樹氏)に、「サトウキビで燃料ができるんなら、コットンの古着でもできるんちゃうんかー」と相談したのが始まりです。

鎌田:そこからの発想だったのですね。そもそもそれを調べたのはなぜなんでしょうか。

岩元:その頃私は繊維会社に営業マンとして勤務していて、ペットボトルから繊維を作って普及させる仕事を担当していたんです。というのも、1995年に容器包装リサイクル法が制定されたんですね。市民がペットボトルをすすいで分別し、それを行政が集めて、業社がリサイクルすることになったんです。今でこそペットボトルのリサイクル回収は当たり前ですが、ペットボトルや食品トレイのリサイクル回収は、この時の法改正から始まったんですよ。

ただ、リサイクル繊維の普及は一社だけではできません。そこで、繊維メーカーさんなどいろいろな関係者と相談しながら、チームを作ったんですよ。そして法律がどうなっているか、自治体にはどうお願いをしたらいいか、消費者に啓蒙するためにはどうしたらいいか、リサイクルの成果が目に見えるように役所の作業服を自分たちの集めたペットボトルから作ったらどうか、などと話し合っていたんです。その過程で、説明するのに知らなくてはいけないと思って、法律や繊維構造を学びました。

鎌田:それがきっかけで、コットンの古着から燃料ができるのではないかと考えたんですね。

岩元:そうなんです。ある論文に植物はセルロース、リグニン、ヘミセルロースが主要化学成分だと書いてあったんです。コットンはほぼセルロースでできているのですが、セルロースが多いと糖に変換ができ、エタノールがたくさんできるんです。コットンはエタノールを作るために存在しているんじゃないかと思いました。そこまではわかっていたのですが、どうやって変換するかがわからなかった。それで髙尾と議論を重ねたんです。

当時、世の中ではリサイクルはなかなかうまく回っていなかったのですが、消費者中心の循環型社会にしていなければいけないと感じていましたし、事業を起こすなら社会課題を解決することをしたいと思っていました。たった120万円ですが、軍資金が溜まったところでとにかく早く立ち上げようと思って、創業しました。

鎌田:先ほどチームを作ってリサイクルの普及に取り組んだとおっしゃいましたが、当時から岩元さんは行政や様々な企業さんと連携をしていたのですね。

岩元:そうなんです。独立した時に役に立ちましたよ。私は会社員の時はどちらかと言うと会社の方針よりも自分の信じる道を行っていたんです。前例がない仕事が生じて省庁などに申請書を出す時には、過去のものを引っ張り出して形だけでも真似てこなしてね。そういうことを繰り返すと、本質的な部分が見えてくるんです。また、柔軟にいろんな人とコミュニケーションをしたのもよかったですね。経験値が人よりも多かったなと感じます。

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