INTERVIEW
2020.08.27UP
コットンからスタートし、桜やウミガメまで。「ちょっと」を積み重ねてきたORGABITSが今考えていること

鎌田:共感します。Webや雑誌などで社会で活躍している人のインタビュー記事を読むと、その人たちが手の届かないような遠い存在に感じてしまうんですよね。でも、きっとその人たちも、何かちょっと行動してみたら新しい人に出会って、そこから何か広がって、情報が集まってきて、それをもとにまた何かちょっと行動してみて……と、ちょっとずつちょっとずつの繰り返しでそこまでやってきた人ばかりだと思うんです。最初の「ちょっと」を踏み出すきっかけになったらいいですよね。

それから小出さんは、ORGABITSをコットン以外にも広げていきたいとも考えていらっしゃるんですよね。

小出:そうなんです。ORGABITSは現状はオーガニックコットンを通じて地球に良いことをしようというプロジェクトです。でも、コットンだけではなく、オーガニック自体をもっと多くの人に知ってもらえたらいいですよね。

今は洋服をメインにしていますが、洋服だけではないさまざまな取り組みに共感してくれた人たちとみんなでORGABITSという世界を作っていると感じています。ゆくゆくはもっと幅広く、生活資材や、さらにはワインやチョコレートなども取り扱えたらいいですね。

子供たちからの借り物をきれいにして返す

鎌田:最後に、小出さんのプライベートについても聞かせてください。小出さんは釣りがお好きで、釣り番組にも出演されたことがあるほどなんですよね。

小出:そうなんです。釣りビジョンという24時間365日釣り番組のみ放映しているCSチャンネルがあって、釣りにまつわる「ちょっといいこと」を紹介する『五畳半の狼』という長寿番組に出たことがあります。そのときは、「自然を大事にしましょう」、「道具を大事にしましょう」という2つの話をしました。

鎌田:物を大事にすることや、メンテナンスのスキルはとても重要ですよね。私は平成4年生まれで洋服がどんどん安くなる時代に育ったんです。洋服ブラシを買うよりも新しい服を買った方が安いような状況で、ケアをしたり直したりすることに関する知識をあまり持たずに過ごしてきてしまったと感じています。そこで、ここ1年ぐらい、洋服を長持ちさせる、リペアするための情報を集めています。趣味の釣りの話でも、小出さんはORGABITSの思想と根底で繋がっていますね。

小出:そうですね。釣りをすると自然に触れ合うことになるので、海や湖が変わったことがわかるんですよね。「地球は子孫から借りているもの」という言葉がありますが、借りたものはきちんと綺麗にして返さなければと感じます。
自分ひとりでできることには限りがあるとは思いますが、これもひとりひとりが「ちょっとずつ」やっていけばいいと思いますし、そんな中のひとりでありたいですね。

鎌田:本当ですね。「ちょっとずつ」を後押しするBITS MAGAZINEの今後が楽しみです。

今回の取材は、神田・サスティナブルキッチンROSYをお借りしました。ROSYについては、こちらの記事もどうぞ。「オーガニックってどういうこと?」と、小出さんが対談していますよ。

Text: フェリックス清香
Photograph: Martineye(
Instagram: dennoooch)

GUEST
小出 大二朗豊島株式会社 営業企画室
ORGABITSプロデューサー。1966年1月神奈川県茅ヶ崎市生まれ。1989年立教大学経済学部卒業後、株式会社三陽商会に入社。営業、企画マーチャンダイザーを経験後、企画責任者を経て、英国ライセンスブランドのメンズ総責任者を担当。その後、米国ライセンスブランドの事業責任者、マーケティング部門の責任者とあらゆる職務を経験。2017年豊島株式会社入社後、出資会社の副社長を経て現職。
INTERVIEWER
鎌田 安里紗
「多様性のある健康的なファッション産業に」をビジョンに掲げる一般社団法人unistepsの共同代表をつとめ、衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。種から綿を育てて服をつくる「服のたね」、衣食住やものづくりについて探究するオンラインコミュニティ「Little Life Lab」など。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。
Instagram: arisa_kamada
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