鎌田:共感します。Webや雑誌などで社会で活躍している人のインタビュー記事を読むと、その人たちが手の届かないような遠い存在に感じてしまうんですよね。でも、きっとその人たちも、何かちょっと行動してみたら新しい人に出会って、そこから何か広がって、情報が集まってきて、それをもとにまた何かちょっと行動してみて……と、ちょっとずつちょっとずつの繰り返しでそこまでやってきた人ばかりだと思うんです。最初の「ちょっと」を踏み出すきっかけになったらいいですよね。
それから小出さんは、ORGABITSをコットン以外にも広げていきたいとも考えていらっしゃるんですよね。
小出:そうなんです。ORGABITSは現状はオーガニックコットンを通じて地球に良いことをしようというプロジェクトです。でも、コットンだけではなく、オーガニック自体をもっと多くの人に知ってもらえたらいいですよね。
今は洋服をメインにしていますが、洋服だけではないさまざまな取り組みに共感してくれた人たちとみんなでORGABITSという世界を作っていると感じています。ゆくゆくはもっと幅広く、生活資材や、さらにはワインやチョコレートなども取り扱えたらいいですね。
子供たちからの借り物をきれいにして返す
鎌田:最後に、小出さんのプライベートについても聞かせてください。小出さんは釣りがお好きで、釣り番組にも出演されたことがあるほどなんですよね。
小出:そうなんです。釣りビジョンという24時間365日釣り番組のみ放映しているCSチャンネルがあって、釣りにまつわる「ちょっといいこと」を紹介する『五畳半の狼』という長寿番組に出たことがあります。そのときは、「自然を大事にしましょう」、「道具を大事にしましょう」という2つの話をしました。
鎌田:物を大事にすることや、メンテナンスのスキルはとても重要ですよね。私は平成4年生まれで洋服がどんどん安くなる時代に育ったんです。洋服ブラシを買うよりも新しい服を買った方が安いような状況で、ケアをしたり直したりすることに関する知識をあまり持たずに過ごしてきてしまったと感じています。そこで、ここ1年ぐらい、洋服を長持ちさせる、リペアするための情報を集めています。趣味の釣りの話でも、小出さんはORGABITSの思想と根底で繋がっていますね。
小出:そうですね。釣りをすると自然に触れ合うことになるので、海や湖が変わったことがわかるんですよね。「地球は子孫から借りているもの」という言葉がありますが、借りたものはきちんと綺麗にして返さなければと感じます。
自分ひとりでできることには限りがあるとは思いますが、これもひとりひとりが「ちょっとずつ」やっていけばいいと思いますし、そんな中のひとりでありたいですね。
鎌田:本当ですね。「ちょっとずつ」を後押しするBITS MAGAZINEの今後が楽しみです。
今回の取材は、神田・サスティナブルキッチンROSYをお借りしました。ROSYについては、こちらの記事もどうぞ。「オーガニックってどういうこと?」と、小出さんが対談していますよ。
Text: フェリックス清香
Photograph: Martineye(Instagram: dennoooch)
Instagram: arisa_kamada