INTERVIEW
2020.08.27UP
コットンからスタートし、桜やウミガメまで。「ちょっと」を積み重ねてきたORGABITSが今考えていること

人と人との繋がりを大事に少しずつ

鎌田:小出さんは以前は総合ファッションアパレル企業に勤務なさっていたのですよね。どんなお仕事をなさっていたのでしょうか。

小出:豊島株式会社に入社したのは3年前で、その前は、株式会社三陽商会に勤めていました。三陽商会は百貨店中心のアパレルで、平成元年に入社して最初の6年ほどはメンズのブランドに配属されて、営業をしながら店頭で販売もしていました。長かったのは、MD(マーチャンダイザー)の仕事です。

ブランドのどういう商品を、いつどんな価格で、どれくらいの量を、どんな場所で、どんな見せ方で、どういう風に販促しながら売っていけば良いのかなどを考える、企画設計者的な仕事をしていました。そのなかで、イギリス、アメリカの100年、200年近く続くライセンスブランドを担当する中で、息の長いブランドや企業には必ず理念があり、ブランドや企業の価値を常に向上させようという姿勢があることを知りました。チームでの仕事でしたので、共に働くメンバーが志ひとつに仕事に取り組めることを目指して仕事をしてきましたね。

鎌田:小出さんは人との繋がりを大事になさっているなと感じます。営業やMDのお仕事で培ったものなのかなと感じました。

小出:長年チームを組んで仕事をしてきたのもあって、人と人との繋がりは非常に大事だと感じています。まったく別の視点を持っていたり、含蓄のある話があって、年や立場に関係なく、どんな人からでも学びがあるからです。人と人との繋がりからずっと学び続けたいですね。また、少しずつ人と人とつなげることも大事だと感じています。そこで何かが生まれるのも楽しみですね。

鎌田:まさに、ORGABITSが大事にしていることに繋がるなと感じました。小出さんと私が初めてお会いしたのも三陽商会時代なんですよね。
アパレル産業に30年以上関わってこられて、いろいろなことを見聞きされていると思いますが、ファッションやアパレル業界の課題は何だと考えていらっしゃいますか?

小出:例えばコットン素材の洋服はコットン農家さんの畑で綿が作られ、綿から糸を作られ、糸を織られて生地ができ、縫製され、店頭に並び、ようやくお客さんの手元に届きます。つまり、洋服が1枚できあがるまでに、ほかのものに比べて長い時間がかかり、様々な人の手を経ているんですよね。それ自体は悪いことではないのですが、関わる人々のことが、一般のお客さんには見えません。

でも、豊島の屋上や渡良瀬エコビレッジでオーガニックコットンを育ててみたり、国内の生産者さんの蘊蓄を聞いたりすると、糸や生地など生産過程をもっともっと一般の方々に知ってもらわなければならないと思うんです。

鎌田:本当にそうですね。いろんな人の仕事が積み重なって1着ができること、プロセスが長くてたくさんの人が関わること自体は私は魅力だと捉えています。でも、店頭で服を見た時には、関わっている人々が見えてこないし、店員さんに聞いてもわからない。となると、背景を想像できないから、「どうしてこんなに高いのだろう」と思ってしまうんですよね。でも、背景を少しでも知ると、洋服を見た時に想像できる範囲が広がって、洋服の魅力がもっと感じられると思います。ORGABITSがきっかけで、少しでも背景を知ってもらえるといいですよね。

最初の一歩を踏み出すきっかけに

鎌田:このマガジンでは今後、様々な人にインタビューをしていくことになりますが、どんな方に登場いただくのでしょうか。

小出:「BITS MAGAZINE」には、サブタイトルに「ちょっといいことしてるヒト。」と入れています。今は大きなことをしているように見える人でも、小さく始めて、それを信念を持って継続し続けてきた人は多いんですよね。その人たちに、なぜそれをやり続けられたのかを聞いていきたいです。

今の若い人たちは、僕らの世代よりも社会貢献意識は高いと思います。でも、何かをやろうとした時にどうしたらやれるかわからないという人も多いと聞きます。このマガジンを読むことで「そうか、自分たちもこういう風にちょっとずつやればいいんだ」と思う人が増えていけばうれしいですね。

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