2021.09.17
コラム
「ゴミは宝の山?アップサイクルファッション」

こんにちは。読者の方がちょっとだけサステナブルな日常を送るためのTipsを紹介するBits&Tips2回目は、「アップサイクルファッション」についてです。

みなさん、アップサイクルという言葉は聞いたことがありますか?ゴミや不良・過剰在庫など、ある時点で価値がないとされてしまったものを、元のモノとしての特性を生かしながらデザイン等の力を使って甦らせることです。

アップサイクルはよく聞くリサイクルとも少し違います。リサイクルは一度、ものを工業的なプロセスを通じて原料に戻し、他のものに作り替えていくことです。代表的な例はペットボトルを再生ペットフレークという粒状の原料に戻し、そこからフリースなどを作ることです。対してアップサイクルでは、ものを原料に戻すことなく、例えばコーヒー豆の麻袋のデザインをそのまま生かしてバッグにするなど、元のモノのデザインをそのまま活かしながら価値をアップします。ケンブリッジ英英辞典にはUpcycleの定義が載っていて、“the activity of making new furniture, objects, etc. out of old or used things or waste material”と書いてあります。訳すと「中古、使用済みのものや廃棄物から新しい家具やものなどを作ること」でしょうか。

因みに、例えばTシャツから雑巾になど、価値が下がる場合は反対のダウンサイクルです。価値の感じ方は人それぞれではありますが、新たな機能性や美しさが加わることが価値アップと一般的には言えるかもしれませんね。

それでは具体的にはどのような楽しい「価値アップ」が行われているのでしょうか?皆さん、フライターグというブランドをご存知ですか?このスイスのブランドは使用済みのトラックの帆をアップサイクルしてメッセンジャーバッグや財布を作っています。全て一点もののアイテムには、帆がトラックを覆い、道路を走っていた頃そのままの色とりどりの柄が活かされています。また、皆さんご存知のセレクトショップBEAMSも売れ残った在庫や、販売予測のずれから店頭に並ぶことなく廃棄されてしまう運命の余剰在庫をデザイナーがアップサイクルし販売するBEAMS COUTUREという取り組みを行なっています。アップサイクルは元となる使用する素材の量も決まっていますし1点ものが多いことから、大企業が大きな規模で展開するには難しさもあるようですが、好みが合えば取り入れたいですね!

また、近年は多くの新しいアップサイクル専門ブランドが生まれています。上でも少し触れたコーヒーの麻袋をバッグにするKissaco、余剰在庫を黒染めすることで甦らせるFrom Stock、建築資材からアクセサリーを作るKinakoや、ヴィンテージ着物をアップサイクルするMuskaanなどが個人的な注目ブランドですが、他にもまだまだありますので検索してみてくださいね。

ここまでブランドの話をしてきましたが、自分でもできるのがアップサイクルの面白いところ。最近私は袖の部分に穴が空いて着られなくなってしまった夫のシャツを1歳の娘のワンピースにアップサイクルしました。元のシャツにあったボタンやポケット等のディテールをなるべく活かしながら、なかなか可愛くできたと自画自賛しています。裁縫はそこまで得意ではないという方でも、例えば飽きてしまったワンピースを大胆にカットしてトップスに変えたり、装飾をつけたり削ったり、アイディア次第でアップサイクルファッションを楽しむことができます。

アップサイクルの服づくりはそもそも着なくなった服や廃材などの素材から出発するため、ゼロから構想を練って沢山の生地から選んで・・・という作り方はできません。人によっては制約に感じるかもしれません。しかし、デザイナーのYUIMA NAKAZATO氏も言っていたように「制約はクリエイティビティの源泉」。ぜひこのプロセスを楽しんでもらえればと思います。


ここで視点をグッと引いてみて、私たちが身につける服の原料のことを考えてみましょう。とてもざっくりした分け方ではありますが、原料となる資源には「地下資源」と「地上資源」があります。サステナブルなファッションを楽しむ方法や考え方はたくさんありますが、その一つがこの、有限な地下資源を掘り起こすのではなく地上資源でぐるぐると回していくという考え方です。地下資源は、主に石油です。(ジュエリーの場合は鉱物も使いますね。)ポリエステルやナイロンなどの化学繊維を1から作ろうとすれば、地下から掘削した石油を使うことになります。それに対して地上資源は、文字通り既に地上にあるもの。前から地上にあった服やペットボトルをリサイクルした繊維や、廃棄物や余剰在庫として積み重なっている服も、アップサイクルの原料と考えれば地上にある資源です(もしくは、宝の山とも言えるかもしれませんね!)。

過剰生産や早すぎるトレンドによる余剰在庫は、そもそも発生する量を減らしていく必要があります。それを丁寧にアップサイクルしていてもスピードが追いつかないし、根本的な解決にはならないからです。それでも、クリエイティブな文化として服が作られ、着られていれば、どこかで無駄やあそびは生まれるものです。その一つ一つのストーリーを楽しみつつ、アップサイクルでファッションをもっと楽しんでみませんか?

Illustration by Luis Mendo

マルティンメンド 有加
一般社団法人unistepsの理事として、サステナブルファッションに関する教育やコンサルティングに携わる。2011-2019年サステナブルファッションブランドINHEELS代表。
現在はアーティストインレジデンスAlmost Perfectの運営も行っている。

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