社会起業家ジョン・ムーアさんの“笑顔になれる暮らしのヒント”をご紹介します。
オセアニアにある南の島「ニューカレドニア」でのエピソードを、2回にわたってご紹介します。
目次
1. この記事の監修:ジョン・ムーアさん
2. 新しい道を模索する島で、原住民と出会った
2-1.ジョンさんからの一言
1.この記事の監修:ジョン・ムーアさん
社会起業家、ORGABITSアンバサダー。英国公認教師、オーガニックフード・ガーデニング教師。英国シェフィールド大学卒業後、教師を経て、電通に入社。その後、パタゴニア日本支社長などを歴任。現在は一般社団法人シーズ オブ ライフ代表理事として活動中。
2. 新しい道を模索する島で、原住民と出会った
数年前のことです。遠い南の島から1通のメールが届きました。彼女は、ニューカレドニアに住む日本人女性。内容は「種についてのセミナーを、ニューカレドニアで開催して欲しい」というものでした。
聞けば、ニューカレドニアはそれまで好調だったニッケル(※)鉱物産業が下火になり、島の誰もが食糧生産、仕事、ライフスタイルの新しい道を模索していると言います。こうした時代背景を受け、オーガニックをベースにした農業やライフスタイルのムーブメントが起こり始めているものの、まだ「種」に対する意識が低いということで私に声がかかったのです。(※ニッケル…メッキや合金などに幅広く使われる鉱物のこと)
ニューカレドニアと言えば、美しい青い海を想像すると思います。しかし、私はこの旅で一度も海に入ることはありませんでした。行ったのは豊かな生態系の残る森やジャングルばかり。ニューカレドニアは、昔々のDNAを持つ植物が残る世界でも希少な島で、森では珍しい植物にたくさん出合うことができました。
しかし、土壌は決して恵まれた条件とは言えません。ニッケルが採れることからもわかるように、土壌のpHは酸性に偏っていて、野菜を育てるには非常に難しい場所です。人々はどのように野菜を育てているのか、非常に関心がわいてきました。
私は様々な場所で、セミナーを行い、たくさんの人々に出会いました。ニューカレドニアは、フランス領のため、フランス系の移民をはじめ様々な人種が暮らしていて、私は多種多様な文化と触れあいました。中でも印象的だったのは、“カナック”と呼ばれる原住民が住む村を訪ねた時のことです。
彼らの住む村へ入るには、入村の儀式が必要です。村民へのお土産に食料や布などを持参し、村の集会場で待ちます。そこで村長に認められた者しか村へ立ち入ることはできません。厳しい表情の村長に私たちもドキドキしましたが、なんとか村へ迎え入れてくれました。この村での出来事は私にたくさんの発見と感動を与えてくれました。なぜ、厳しい土壌環境で農業ができるのかも。それは次回、詳しくご紹介しましょう。
2-1. ジョンさんからの一言
取材・文/坂田奈菜子 イラスト/ハシモトジュンコ
(からだにいいこと2018年9月号より)