2022.01.14
コラム
「手放す前に直す。服のお直しのススメ。」

なるべく新しい服は買わず、同じものを長く着ましょう。今ある服を捨てずにもう一年着れば、日本全体で約4万トンの廃棄削減になります(*1)。

サステナブルファッションでよく言われるこんな言葉、頭では理解できるけれどちょっとモヤモヤしたことはありませんか?

「言いたいことはわかる。でもそれって服に興味ない人はいいかもしれないけれど、服がくれるワクワク感が大好きな私には退屈すぎるんです。」という声が聞こえてくるようです。

そんな方におすすめなのが今回のテーマ、洋服のお直しです。今ある服をアップグレードしてワクワク感を取り戻すことができる、サステナブルな選択肢です。

皆さんのクローゼットを思い浮かべた時、捨てるのはもったいないけれど何かしっくり来なくて着ていない服、ありませんか?統計ではなんと、1年間着られていない服は1人当たり25着(*2)。この休眠アイテムが、少しのお直しでスタメン復帰するかもしれません!

服のお直しにはたくさんの方法があります。例えば・・・

・袖やスカート、パンツの丈が長すぎるor 短すぎる→丈つめ、丈出し
・ウエストやヒップの幅が大きすぎるor小さすぎる→幅つめ、幅出し
・白や淡い色なのに、シミを作ってしまった→違う色に染めてみては?
・シャツやニットに穴が空いてしまった→穴補修、かがり
・古くて裏地がボロボロに→裏地取替。いっそのこと好きな色柄を選んで楽しんでみては?
・肩幅が合わなくてシルエットが決まらない→肩幅変更
・生地は好きだけど形が今の私には微妙。いっそのこと別のものに生まれ変わらせたい。
 →これが一番楽しいお直しかも?コートをジレに、スカートをバッグに等可能性は無限に

丈を長くしたり幅を広くしたりというのは生地に余裕がないとできないこともありますが(そんな時は似た生地を追加したり、思い切って異素材やアクセントカラーの生地で伸ばすのもいいかもしれません)、こんなことが可能です。裁縫ができる方は自分でやっても、YouTubeでやり方を検索して実践してもいいですし、街のクリーニング店や靴の修理屋さんでやってくれることもあります。私はミシンを持っているので簡単なものなら自分でやってしまうことが多いのですが(先日調子に乗ってデニムを直して、ミシンの針をボキボキ折りましたが)、祖母の形見のカシミヤのコートはさすがに自分で直す度胸がなく、お直しのプロ、サルトさんにお願いしました。裏地の総取替もなかなか難易度が高いので私はプロに任せてしまいます。全国にたくさん店舗があるマジックミシンなどのお直し屋さんも頼りになります。

服が捨てられる原因には大きく分けて二つ。一つは破れなどの物理的要因、もう一つは飽きたなどの心理的要因。物理的な補修や変更を通じてワクワク感を得られるお直しでは、物理的・精神的な要因両方を解決してくれますね。

何はともあれ「壊れたら捨てる」「合わないから着ない」ではなく、「服は直せるもの」と思うことから。


ところで、お直しを楽しむためには、服を買うときに長持ちするものを選ぶのがポイントです。エリザベス・L・クライン著「シンプルなクローゼットが地球を救う ファッション革命実践ガイド」によれば、質の良い服には以下のような特徴があります(内容を一部解釈して掲載)。

・スポーツウェアなら通気性と速乾性あり、夏物なら涼しい素材など、素材と用途が合っている。
・縫い目はまっすぐで強く、仕立てに余裕がある。継ぎ目と裾は表側と同じように裏も美しく整っている。
・縫い目が飛んでいない。縫い目の途中から糸が出ていない。
・糸やボタン、ファスナーなどのパーツに耐久性がある。
・予備のボタンや糸がついてくる。
・保証や修理のサービスが充実している。

一度惚れて手に入れた服、素材にあった洗濯をする、型崩れしないハンガーを使う、コートやニットはブラッシングをする(面倒と思うかもしれませんが、何だかペットをブラッシングしているようで愛おしくなるとの声も)などのお手入れをすれば長く着ることができます。

長持ちする服を手に入れて、ケアをし、そして何か変えたくなったらお直しという思考回路を実装すれば、クローゼットを開けて目の前にあるのは思い出の詰まった資源の山。なんだか楽しくなってきませんか?

*1、2
環境省「SUSTAINABLE FASHION これからのファッションを持続可能に」

Illustration by Luis Mendo

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