社会起業家ジョン・ムーアさんの“笑顔になれる暮らしのヒント”をご紹介します。
身体の70%を占めると言われる“水”のつながりについて、考えてみましょう。
目次
1. この記事の監修:ジョン・ムーアさん
2. 「生き物としての水」を意識すること
2-1.つながる水の循環
2-2.ジョンさんからの一言
1.この記事の監修:ジョン・ムーアさん
社会起業家、ORGABITSアンバサダー。英国公認教師、オーガニックフード・ガーデニング教師。英国シェフィールド大学卒業後、教師を経て、電通に入社。その後、パタゴニア日本支社長などを歴任。現在は一般社団法人シーズ オブ ライフ代表理事として活動中。
2. 「生き物としての水」を意識すること
高知県の山奥にある私の家での暮らしは、自然の恵みが支えてくれています。畑から野菜を収穫したり、山の薪でお風呂を焚いたり。そして、水も。
全国でも美しい川として知られる仁淀川(によどがわ)の上流にある私の村は、山から湧き出る水をそのまま使うことができます。森や岩とたわむれながら活き活きと流れる水は、エネルギーにあふれた、まさに生きている水。この水を飲んだ時、私の身体は喜びに満ちあふれます。
ところが、村にずっと住むおばあさんは「この水の味は、昔とは変わってしまった」と言います。かつて森には様々な木が育っていましたが、林業が盛んになると、スギが植林されるようになりました。その頃から水の味が変わったというのです。
山に降った雨水は森の土壌に蓄えられます。ゆっくりと土壌に染み込み、川へ流れるまでに、ろ過され、ミネラルなどが含まれておいしい水を作り出してくれます。自然の「ろ過装置」が変化したことで、水の味も変わってしまった。そう推測すればおばあさんの話も納得できました。
日本は、約70%の面積を森が占めており、この豊かな森に蓄えられた水が、飲み水や生活用水となり、私たちは当たり前のように、きれいな水を使うことができます。しかし、水を使う過程で水を汚染しているのも事実です。
例えば、最近ではホームセンターなどで、誰でも手軽に手に入れられるようになった、農薬や化学肥料。そして農業用水や工業用水だけでなく、家庭からも様々な化学物質が流されています。インフルエンザの薬として知られるタミフルが、河川から検出された事例などからわかるように、下水処理では分解できないものが流れてしまっているのです。
私たちの身体は、約70%が水分でできています。森から川へ。そして海へ。そしてまた、雨水となり循環していく。「生きものとしての水」をもっと意識し、そのつながりの中に、私たちは生かされ、水を育む一員であることを忘れてはなりません。
2-1. つながる水の循環
あらゆる生命の源であり、生活に欠かすことのできない水。この循環システムを汚染しないように意識していくことが大切です。
(参照)政府広報オンライン『暮らしを支える「水の循環」』。
2-2. ジョンさんからの一言
取材・文/坂田奈菜子
(からだにいいこと2019年12月号より)