社会起業家ジョン・ムーアさんの“笑顔になれる暮らしのヒント”をご紹介します。
ビルの屋上や学校などを利用した「アーバンファーミング」が世界的に広がりを見せています。
目次
1. この記事の監修:ジョン・ムーアさん
2. どこでも始められる種まき、始めませんか?
2-1.ジョンさんからの一言
1.この記事の監修:ジョン・ムーアさん
社会起業家、ORGABITSアンバサダー。英国公認教師、オーガニックフード・ガーデニング教師。英国シェフィールド大学卒業後、教師を経て、電通に入社。その後、パタゴニア日本支社長などを歴任。現在は一般社団法人シーズ オブ ライフ代表理事として活動中。
2. どこでも始められる種まき、始めませんか?
私は種に関わるプロジェクトで日本全国を飛び回っています。それは地方だけでなく、東京も。都市暮らしでも、菜園のある生活を目指す人が徐々に増えはじめています。
しかし、都市農園「アーバンファーミング」に関して、日本は遅れていると言ってよいでしょう。ロンドン、ニューヨークをはじめ、世界各地ですでに都市農園は大きなムーブメントとなっています。
例えば、ロンドンでは2012年ロンドンオリンピックでイギリス産の食材を提供するため、2008年から2012年までに2012ヶ所の農園を作る「Capital Growth(キャピタルグロース)」という取り組みが行われました。2018年には約2700ヶ所の農園で、年間約80トンもの食料が生産されています。
ではなぜ、世界中で都市農園に目が向けられているのでしょう? 都市によって事情はまちまちですが、大きな理由のひとつは食の安全を守るためです。
みなさんは東京都の食料自給率を知っていますか? なんと、わずか1%(※)。日本全体でも38%(※)。諸外国に比べてとても低い水準です。自然災害の影響を受けやすい食料のほとんどを、輸入に頼るのはとても危険です。
また、食べ物は、農薬や肥料、人工的な種子を使う農業、添加物が多く含まれた加工品など、工業化されたフードシステムの中では、健康をおびやかす存在とも言えます。ですが、自分たちで野菜を育てていけば、常に安心な食材を手に入れることができるのです。
東京でも、そうした意識から種をまきはじめる人が増えています。私も、東京の新宿区や品川区の菜園で、種から野菜を育てています。畑がなくても、屋上やベランダ、道路の脇、校庭などどこでも始められるのです。そして、本物の種を使えば、栄養価の高い野菜が収穫できます。
できた野菜からまた種を採れば、繰り返しおいしい野菜を食べることができるのです。庭に種をまくことは、未来を作ること。さあ、一緒に種をまきましょう! あなたのためだけでなく、次の世代の子供達のためにも。
(※2018年9月 農林水産省HP カロリーベースより)
2-1. ジョンさんからの一言
取材・文/坂田奈菜子
(からだにいいこと2018年12月号より)