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コラム

ソトコト 5月号 ダウン症の人たちが描く、調和し、穏やかな世界を 洋服をとおして、もっと身近な存在に。

 

ベーシックなインナーなのだが、店頭に置かれていると、ちょっと大きめでカラフルなネームタグが、ぱっと目に入ってくる服がある。オーガニック・コットンをとおして“ちょっとずつ”地球環境に貢献するプロジェクト『オーガビッツ』と、ユナイテッド アローズが展開する、心が豊かになるモノとコトを提案する服と雑貨のブランド『グリーンレーベル リラクシング』、そしてダウン症の人たちための小さなプライベートアトリエ『アトリエ・エレマン・プレザン』、この三者によるコラボレーションから生まれたもので、すでに3年目を迎えている。

きっかけは、小誌に掲載されていた『アトリエ・エレマン・プレザン』の記事だった。それを読んで興味をもったオーガビッツの生みの親である『豊島』の溝口量久さんが、服を通してベーシックなインナーなのだが、店頭に置かれていると、ちょっと大きめでカラフルなじまりだった。『アトリエ・エレマン・プレザン』でも、ダウン症の人たちの作品を美術館以外の空間に飾ったり、チャリティで企業と協力したり、活動領域を広げていたところだった。

経堂駅から15分ほどの閑静な住宅街にアトリエはある。絵が描かれたスリッパも作品と呼べるかもしれない。明るい色彩に、気持ちがやわらぐ。ダウン症の人たちは、ビビッドな原色が好き。描きやすいように、佐久間さんがいろいろと工夫している。

「 ダウン症の人の絵の特徴は、“色彩の調和”です。穏やかで感覚的な彼らのセンスが表現されていて、観る人に心地よい感覚を与えてくれます。展覧会以外の、身近な場所に彼らの作品が入っていくことは意味がありますし、今の社会に必要なことだと感じました」と『アトリエ・エレマン・プレザン』の佐久間寛厚さん。

両者がコラボしたサンプルを展示会に出したところ、『グリーンレーベル リラクシング』が声をかけたそうだ。担当の住友奈月さんは「いくつか作品を持ってきてくださって、すぐに岡田伸次さんの作品を使用させていただこう、と決まりました。絵そのものに力があるので、シンプルなインナーのタグにすればアイキャッチになり、洋服も絵も、両方が引き立つと考えました」と当時を振り返る。

左:左から「オーガビッツ」の川村さん、アトリエの佐久間さん、「グリーンレーベル リラクシング」の渡邉裕也さん、住友さん。
右:コラボ商品につけられるタグには、アトリエの紹介が載っている。タグ1枚につき50円がアトリエに寄付される仕組みだ。

また、この製品がチャリティであることは、大きくは謳われていない。「チャリティだからではなく、いいものだからみんなに届けたい、そういう気持ちがなければ継続した活動にはならないと思います。少しずつ、こうした取り組みが認知され、当たり前になっていくことを目指しています」とオーガビッツの川村薫さん。佐久間さんも「この服をきっかけに、絵を素敵だと感じ、私たちの取り組みに関心をもつ人が増えてくれればいいですね」と語る。

春/夏シーズンの三者のコラボ商品は、この4月から店頭に並ぶ。その背景にあるみんなの気持ちに思いを馳せてほしい。

三者のコラボ商品に使用されているのは、岡田伸次さんの作品。「岡田さんの作品は完成度が高すぎて、これまで商品に使われることはありませんでした」と佐久間さん。「お互いにとっていいものができれば、それがいちばんいいと思います」。

2015年 春/夏シーズンの新作。色鮮やかなネームが目に飛び込んでくる。

アトリエ・エレマン・プレザン
ユナイテッド アローズ グリーンレーベル リラクシング

photographs by Reiko Hisashima

text by SOTOKOTO