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コラム

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Slow Printを通じて環境問題を提起する アーティスト カザマナオミさんインタビュー【後篇】

オーガニックがどうかが一番重要ではなくて、自分が楽しいかどうかが重要―カザマナオミさんが伝えるオーガニックのかたちとは。

ファッションとアートと環境を結びつける活動は企業が作ろうとして作るものではなく、すでに原宿に買い物にくる人たちの心の中にあるもの。自分の活動は、それを一人一人に実感してもらうきっかけになっているのかもしれない―。環境とアートの融合でファッション業界にメッセージを発信しようという壮大な夢を抱いたオーガビッツが実現への最初の一歩として協力をいただいたアーティスト、カザマナオミさんにインタビュー。

ナオミさんは、「Big O Project」というオーガニックコットンの認知度・使用率を上げることや、着なくなってしまった物などをUpcycleすることをライブペイントを通じて発信。その活動を伝えるキャンバスとしてオーガビッツではTシャツを提供し、お互いの活動を高めあっている―。「Big O Project」を通してナオミさんが伝えたいこととは―。


――オーガニックコットンが広く普及した、未来予想図

シンプルに、オーガニックコットンが当たり前になっていくとどうなるだろうって、アート的な観点から観ても面白いですよね。でも、絶対違うと思うんですよ。それは、未来は暗いということではなくて、何を基準に考えるかですよね。問題など、つつけばいくらでも出てくるものです。でも、そこで止まってしまうと、全然楽しくない。しょうがない現実があるからこそ、もう少し楽しめないかなと考えたくなるものですよね。
結局は、オーガニックかどうかが一番重要ではなくて、自分が楽しいかどうかが重要なんです。
それがTシャツでなんであれ、そうじゃないと腐敗につながっていく気がします。

――だから、“着なくなってしまった物などをUpcycleすること”もしている

楽しいこと、カッコいいこと、ステータスになることを選び、その結果、世の中がいいほうに変わったというデザインがなされていればいいだけだと思います。
皆わかっていると思いますよ、言われれば(笑)。だから、先ほど“ぶつかってナンボ”って言いましたが、その当時は自分が気持ちよくなりたかっただけなんですよね。100パーセント、オーガニックじゃなくちゃダメだっていうことで。今はぶつからず、プリントしたら何かが解決し、しかも楽しかったという別の価値観を創造することができる。それは大きな規模では難しいけれど、僕のプリントみたいな小さな規模でたくさんあればいい。その積み重ねが大事なんです。

――100パーセント、オーガニックでなくてもプリントするようになった出来事

北海道でイベントを行った時、数人の若い子たちからコンベンショナルコットンのTシャツにプリントしてほしいと言われ、それまでは断っていたのに「まずは来てくれてありがとう」と自然に言えたことがありました。そして「実は……」と次に買うことがあったら、ちょっと考えてほしいとメッセージを伝え、Tシャツにプリントさせていただきました。すごく僕も気分がよかった。だから、100パーセントにこだわることは絶対じゃなくて、その時の選択と判断が重要なんだと思いました。人の優しさに触れたら、優しく出来るし。このことは、僕自身の価値観にもインパクトがあった。“ぶつかってナンボ”じゃないわけですよ。目の前の人と、心で対話した結果です。

――今後の展望――「Big O Project」の将来

目標は5年後の東京オリンピックで、選手団が当たり前にオーガニックコットンを着ているとか、マテリアルがリサイクルの資源化されたものであるとか、そういうことが目標です。それは単純に洋服をデザインする人が、そういう意思を持っていれば実現するけれども、まだ実現する確率は低い。コストの問題もある。作る人に東京らしさを表したいという思慮深いものもないといけないけれど、素材だから表れにくい課題もあります。ただ、消費者の多数がそういうマインドになれば、デザイナーも影響を受けて実現しやすいとは思います。ただ、現状はブッ壊して新しいモノを作りましょうみたいな方向性なので、まだ難しいかもしれないですけど(笑)。
でも、目指していきたいですね。

⇒前篇はこちら


【PROFILE】
Naomi KAZAMA – Artist
アーティスト カザマナオミ
ストリートアートの先駆者OBEY、シェパード・フェアリーに出会いからシルクスクリーンプリントを学ぶ。
アートとは実験であることを知る。
98年に帰国後、ストリートにてスクリーンプリントポスターを貼り、作品を発表する。
2001年、東京、中目黒にギャラリースペース “大図実験” (DYEZU-EXPERIMENT!)を展開し、ストリートの延長上を表現する(当時の様子を収めたVon Azain! / 2005 や、そこに集った作家達の今の作品とインタヴューを収めたDYZ / 2012 Bueno Booksの本がある。)
以降、NYと東京ベースに活動するアーティストペインティングコラボレイティブのバーンストーマーズへの参加をはじめ、作家としてNY, Paris, London, Stockholm,Munichなど国内外のグループ展への参加や個展を中心に活動する。
http://www.experimentalwaltz.net/