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コラム

Slow Printを通じて環境問題を提起する アーティスト カザマナオミさんインタビュー【前篇】

世の中は多数決、消費者が気づいていけば、企業も変わらざるをえない―カザマナオミさんが仲間とともに伝えたいメッセージとは。

ファッションとアートと環境を結びつける活動は企業が作ろうとして作るものではなく、すでに原宿に買い物にくる人たちの心の中にあるもの。自分の活動は、それを一人一人に実感してもらうきっかけになっているのかもしれない―。環境とアートの融合でファッション業界にメッセージを発信しようという壮大な夢を抱いたオーガビッツが実現への最初の一歩として協力をいただいたアーティスト、カザマナオミさんにインタビュー。

ナオミさんは、「Big O Project」というオーガニックコットンの認知度・使用率を上げることや、着なくなってしまった物などをUpcycleすることをライブペイントを通じて発信。その活動を伝えるキャンバスとしてオーガビッツではTシャツを提供し、お互いの活動を高めあっている―。「Big O Project」を通してナオミさんが伝えたいこととは―。

――「Big O Project」 発足のきっかけ

7年ほど前にクリエイターの友人に誘われたのがきっかけで始まりました。今でこそクラフト的なものという意味で、ワークショップやフェスで作るプリントなどが増えているけれど、これって音楽のジャンルとかと一緒で、細分化された業界文化の一端だと思います。時代的にファストファッションみたいなものも登場して、キーワードとしては西海岸やDIY、オーガニックなどいろいろあって、要は小さい規模のプリントのマーケットが出てきて、それが発展した。だから今思うと、そのはしりだった気がしますね。

――ライブペイントを通じて、メッセージを共有する活動が広まった背景

まず、机の上でデザインして、データ化して、プリント屋さんに送って、その作る枚数が多ければ中国などで大量生産して、全国のセレクトショップで似たようなシャツが売られる――という状況に、人々が飽きてきたのだと思います。でも、自分で作るには、時間がなくて面倒で大変…。そういう世の中の流れの時に、自分たちが楽しめることを条件に作るという発想がハマった。ただ、消費者にはチョイスが増えていいけれど、大きく数がこなせないので我々は大変になったのですが(笑)。

――それでも続けている理由

まあ、要は自分も楽しそうだなって思えたことです(笑)。
僕は技としてプリントしか持っていないけれど、たとえばプリントに参加してくれた人が着なくなったTシャツにプリントを載せることで、それが宝物に変わって、また着る機会に変わる。それで、問題が一個解決することになりますよね。新品のTシャツの場合、オーガニックコットンのTシャツを選択することになるので、コンベンショナルコットン(農薬を使用した慣行農法のコットン)のTシャツを選択しなかったことで、環境に対して問題が一個クリアされたことになる。そういうことの積み重ねで、それが充足感になっていくと思っているんですよね。

――それが、“直線的に突っ走るラインを曲げて循環的な大きな円を描くこと”の意味

以前はもちろん生きるためにデザインをして、大量生産をして、いろいろなところで売っていましたが、でもそこに僕は未来を感じなかったんです。もっと新しいスタイルとして、ワン・バイ・ワンみたいな意味合いがほしかった。僕のノウハウだと手が二本しかないので頑張っても1日50枚、ダイレクトの取引だから、そこまでたくさんのお金にはならないけれど、生きていくには十分なんですよ(笑)。そういう価値観で行くと、小さな幸せに気がつける。それが未来につながることへのベースなんだと思います。

――オーガニックコットンの普及を推進する「オーガビッツ(Orgabits)」との活動について――100パーセント、オーガニックでなければプリントしないこととの整合性

いや、前向きなチョイスであればOKです。以前は、本当にダメでしたけど(笑)。ライブプリントをやって7年、メッセージを伝えるきっかけとしてのプリントになって4年目ですが、プリントって楽しい、わたしもやりたいって言ってきた人に、実はそういうことじゃなくて……みたいな“ぶつかってナンボ”だった。でも、最初のなぜ続けるかという話にも関係していて、今の世の中が嫌だけど自分一人じゃ解決できない場合、仲間を増やしていくしかないじゃないですか。だから、orgabitsのように前向きな考えであれば一緒にやりたいなと思うようになったんです。

世の中は多数決です。消費者が気づいていけば、企業も変わらざるをえない。そういう人たちが、世の中を変えていくはずですから――。

【PROFILE】
Naomi KAZAMA – Artist
アーティスト カザマナオミ
ストリートアートの先駆者OBEY、シェパード・フェアリーに出会いからシルクスクリーンプリントを学ぶ。
アートとは実験であることを知る。
98年に帰国後、ストリートにてスクリーンプリントポスターを貼り、作品を発表する。
2001年、東京、中目黒にギャラリースペース “大図実験” (DYEZU-EXPERIMENT!)を展開し、ストリートの延長上を表現する(当時の様子を収めたVon Azain! / 2005 や、そこに集った作家達の今の作品とインタヴューを収めたDYZ / 2012 Bueno Booksの本がある。)
以降、NYと東京ベースに活動するアーティストペインティングコラボレイティブのバーンストーマーズへの参加をはじめ、作家としてNY, Paris, London, Stockholm,Munichなど国内外のグループ展への参加や個展を中心に活動する。
http://www.experimentalwaltz.net/