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モデル浜島直子さん インタビュー

みんなでやいのやいの言いながら
チクチクするのが楽しくて!


2012年7月下旬、浜島さんを含む“東北花咲かお母さんプロジェクトチーム”は、刺し子のお母さんたちとの打ち合わせのため、岩手県大槌町に赴きました。岩手県の沿岸南部に位置する大槌町は、津波で甚大な被害を受け、町長を含め802名以上の犠牲者を出し、今なお町民の479名が行方不明です。(2012年8月現在 大槌町ホームページより)

————初めて大槌町を訪れてどんな印象を受けましたか?

はまじ :北上駅から車で3時間かけて大槌町に入っていったのですが、大槌町に近づくにつれて瓦礫の山が増えていって……。正直、どきどきしました。廃屋もたくさんあって、鉄骨の柱がくの字にぐいーんと曲がっていたり、1・2階の窓ガラスは全部割れているのに、3階から上の階の窓はきれいだったり。震災から1年5ヶ月ほど経っているのに、津波の爪痕が生々しく感じられ、あの日から時間が止まってしまったようで、最初は言葉もありませんでした。

そんな中、緑の小山がぽつぽつとあって、それがとっても心和む風景だったんですけど、その実態は瓦礫の山だったんですね。瓦礫から植物が育って、緑に覆われていたんです。瓦礫の量が半端ないので処分も難航していて、緑の小山になった瓦礫をそのまま残そうかというという案も検討されているそうです。
つくづく自然にはあらがえないなと思いました。震災のあとは、自然が怖かったし、自然が憎たらしかったけど、今、こうして瓦礫を緑に包んで、心を癒してくれるのも、自然なんですもんね。


————複雑な思いを抱えながら、お母さんたちとの初顔合わせに臨んだわけですね。この日は6人の大槌町のお母さんたちが集まってくれたわけですが、お会いした印象はいかがでしたか?

はまじ :いい意味でとっても普通でした。最初はみんなシャイなんですよ。でも一緒に糸の色を選んで、刺し子を始めたら、どんどん打ち解けていって。「花は目数が小さいとかわいくないから、大きいほうがいいね」とか、「星のこのトンガリが出ねえ!」とか(笑)。ああやったらどうだ、こうやったらどうだって、みんなでやいのやいの言いながらチクチクやるのが本当に楽しくて!


————浜島さん、お母さんたちから指導が入ってましたね(笑)。

はまじ :そーなんですよー。なんだか隣のお母さんの熱い視線を感じるなあと思っていたら、しばーらくたって、「ね、糸が長くない?」って。糸があり得ないほど長過ぎたみたい(写真参照)。「早く言ってよー」って言ったら、大爆笑してましたね(笑)。お母さんたちはみんなエース級の腕を持っているので、いろいろ教えてもらいました。


————刺し子は家でひとりでもできるけど、みんなでワイワイ相談しながらやると楽しいし、気が紛れるということで、大槌町刺し子プロジェクトの運営スタッフの方が借りた一軒家を週に一回刺し子会の集会所として活用しているそうです。


はまじ :みなさん、刺し子の集会所があって「ありがたいねえ」って喜んでましたね。80代くらいのお母さんは、「みんな死んじゃって、友達もいない、お金もない、なんで私は死ななかったんだろう、私も死ねばよかったって思ったけど、こうしてみんなで集まって、ああだこうだ言える場があって本当に救われる」と言っていました。
私の個人的な考えですけど、人間がいちばん嫌う感情って、孤独じゃないかなと思うんです。大震災のあと、誰も知り合いのいない仮設住宅に行きたくないと避難所にとどまる人も少なくなかったそうですが、あの集会所は、お母さんたちにとって社会とつながる希望の場でもあるんですよね。