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コラム

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【インタビュー】世界中の子どもたちに「本当に必要なもの」を届ける NPO法人「みんな地球の子どもじゃん」

インドネシア・バリ島に走る、カラフルなバス。この楽しいバスは、バリ島で恵まれない子どもたちやハンディキャップを持つ子どもたちを積極的に受け入れている学校のスクールバスです。

実はこのバスは、日本のNPOからの寄付によって同校に贈られたもの。オーガビッツも、いっしょに寄付しました。

バリ島とオーガビッツをつなぐ日本のNPO法人みんな地球の子どもじゃん(以下、「みんな地球の子どもじゃん」)は、このほかにも、「地球の子ども」たちに向けて多数の支援を行っています。

NPO法人「みんな地球の子どもじゃん」理事長・木村一雄さんに、その多様な活動の原点について尋ねました。

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NPO法人みんな地球の子どもじゃん 理事長・木村一雄さん

「みんな地球の子どもじゃん」が始まったインドネシア

木村さんがインドネシアを初めて訪れたのは、2006年。仕事のための訪問でした。
しかし、貧富の差の中に暮らす子どもたちを目の当たりにすると、「どうしてこんな状況が生まれるのだろう?」という疑問がふつふつと……。「知りたい」という気持ちに突き動かされ、現地を何度か横断して子どもの施設などをいくつか訪ねるようになります。
そして、キラキラ目を輝かせる子どもたちに、すっかり魅了されてしまったのかもしれません。「できることをやってみよう」と、子どもたちに鉛筆やノートなどの品物を学校に届ける活動をスタートします。

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提供:みんな地球の子どもじゃん

その中でたまたま訪ねたバリ島の学校・YPACには、ことさら惹かれるものがあったと言います。

「YPACは恵まれない境遇にある子どもたち、ハンディキャップを持つ子どもたちの学校なんですが、雰囲気がすごく良いんです。先生がたも、会ってまず最初に、子どもたちの絵やトロフィーなどの”自慢”をしてくれたんです。それも目を輝かせて! そんな学校はほかにはありませんでした。
『本当に平等であること、差別がない状態って、こういうことなのかな?』って、心を動かされるものがあったんです。」

「この学校に行きたい、もっとここの子どもたちと遊びたい」 ーーそうしてYPACを訪れては、同様に文具などの寄付を続けていましたが、あるとき先生に次のように言われたそうです。

「文具などは寄付で集まる。寄宿舎を掃除する洗剤や、子どもたちの歯磨き粉が欲しい。服をなかなか洗えなかったりするから、良い匂いがするようにしてあげたい」

これまで、「本当に必要なもの」を届けられていなかったのだと感じた、という木村さん。同時に、いろんな支援活動を知るうちに、表面的な支援・寄付が多くて「本当に必要なもの」を届けられていない現状に、歯がゆさも覚えるようにもなっていました。
そこで、「本当のことを見せながら、小さくてもいいから、本当に必要なものを届けよう」と思うようになったといいます。

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生き生きとした表情のYPACの子どもたち(提供:みんな地球の子どもじゃん)

「楽しい」でつながる

スクールバスを届けるというのも、「本当に必要なもの」をYPACの先生に知らされてからでした。

「スクールバスがあれば、もっと子どもを受け入れられる。また、寄宿舎に住む子どもたちは交通手段を持たないから、なかなか家族の下に帰ることができない。バスがあれば、子どもたちがもっと家に帰れる。」

そんな中、たまたまYPACの生徒の一人が、デニムに絵を描いて、木村さんに見せたそう。

「デニムに絵を描くって楽しくてかっこよくて、すごく良い! これを売ってスクールバスを買おう!」

かくし2008年、日本国内でアーティストに声を掛け、アートデニムの制作・販売に乗り出しました。目標は、170万円。

オーガビッツとの出会いは、ちょうどその頃。オーガビッツを率いる豊島株式会社・溝口量久さんは、次のように当時を振り返ります。

私はインドネシアに駐在していた経験もあり、木村さんの活動に親近感を持ち、ご連絡をしたのがきっかけでいっしょに取り組みをさせていただくようになりました。
繊維業界でインドネシアは日本ととても縁の深い国。大手紡績の工場が40年近く前から進出していて、取引量も多い国です。
長年日本の繊維産業を支えてきたインドネシアという国の子どもたちを、日本のファッション業界がサポートするつながりを作りたいと思いました。
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(左・中央)実際に制作・販売されたアートデニム、(右)「寄付のお礼に、子どもたちがデニムの端切れに感謝の言葉を書いてプレゼントしてくれました。木村さんがその端切れをまたジーンズに縫い付けてメッセージデニムジーンズを作ってくれました」と、溝口さんは振り返る。(提供:みんな地球の子どもじゃん)

オーガビッツは寄付・協賛としてこの取り組みを応援すべく、デニム生地が1メートル購入されるたび、5円が寄付されるしくみを整え、2011年には合計およそ115万円の寄付を達成。2012年に、YPAC初のスクールバスを、いっしょに贈ることができました。
そんなオーガビッツに対し、木村さんは次のように語ります。

「もともと支援活動などに興味のなかった僕が、この活動に注力するようになったのは『楽しかったから』かもしれません。子どもたちと遊ぶのも、アーティストさんたちとわいわいデザインするのも楽しかった。やっぱり楽しくないと、誰にも興味持ってもらえないし、自分たちも続かないですよね。
オーガビッツ/豊島という会社は、すごく楽しそうな会社だと感じて、ぜひいっしょに取り組みさせていただきたいと思いました。」

2016年の現在、このバスはいまも子どもたちをしっかり家に学校に送り届けているようです。

「送り迎えのほか、学校の遠足などでも活躍しているそうです。でも、実はときどき壊れるらしいんですよ(笑)。そろそろ修理か、買い替えが必要みたいです。」

「本当に必要なもの」を届けるために

2011年の東日本大震災をきっかけに、いま、「みんな地球の子どもじゃん」の活動は、日本の子どもたちの支援も行っています。

東日本大震災/原発問題による母子避難者が、被災地に残るパパに会える機会をつくる「パパに会いたいプロジェクト」、いまだ不自由な生活を送る被災地の子どもたちのリフレッシュに、「遊ぼう十和田!キッズサマーキャンプ」など……。被災地の子どもたちに、家族とのつながりや体験という「本当に必要なもの」を届けています。

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「パパに会いたいプロジェクト」で再会したご家族(提供:みんな地球の子どもじゃん)
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「遊ぼう十和田!キッズサマーキャンプ」のひとこま(提供:みんな地球の子どもじゃん)

「原発問題が起こったとき、行政が被災者の他県移住や、リフレッシュのための短期ステイを募集していたんです。
しかし福島に行くと、肝心の本人たちがそういった情報から取り残されていました。『このままで大丈夫なんだろうか?』と、お母さんたちが一人で悩んでいるばかりだったんです。
そこで、必要としている人に必要な情報を届けようと、そうした情報をまとめて伝える講演会を福島県に依頼したら断られてしまって……。「福島県から人を流出させられない」というのが主な理由でした。
当時はまだ、放射能の危険性について、一切明確な『答え』のない時期。だから、いろんな考え方が錯綜します。
人それぞれ、考え方は違っても良い。けど、他県に行きたいと思っている人が実際にいるのに、『ここに行けますよ』って、言うこと自体がダメって言われてしまって、『選択肢くらいはあっても良いじゃないか』って思ったんです。」

選択肢が閉ざされてしまうことは、可能性を閉ざしてしまうこと。「本当に必要なもの」は、そういった可能性への緒(いとぐち)なのかもしれません。

インドネシア・YPACでの支援も、これからはモノを届けるだけではなく、学校を出た先を見据えて支援したいとも話します。

「施設の子どもたちの何が問題かっていうと、学校を出た後に、どういう人生を歩むのか。職能教育につながることなど、その後、ちゃんと就労できるきっかけになることをしたいですね。」

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オーガビッツ・中村さん(左)と、木村さん(右)。

そんな木村さんに、オーガビッツ・中村さんも次のように話します。

「この活動は、実際に現地に赴いた木村理事長が、物事の大小を問わず『必要だ』と感じたことを着実に実行する誠実さ、優しさがあり、すばらしいと感じています。
その姿勢は、日本の子どもに対しても、インドネシアの子どもに対しても同じ。まさに『みんな地球の子どもじゃん』という団体名に活動内容が表現されています。
ファッション業界から子どもたちに対するさまざまな思いをつなげて、お届けできればと感じています。」

オーガビッツは木村さんとともに、子どもたちの「本当に必要なもの」を届けられるよう支援を続けていきます。子どもたちに選択肢を ーーあなたも届けてみませんか?

NPO法人「みんな地球の子どもじゃん」についてもっと詳しく……
→http://www.chikyuunokodomo.com/

(取材・文/Fragments