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コラム

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和綿の未来を紡ぎたい 〜TokyoCottonVillage・冨澤拓也さんインタビュー〜

渡良瀬エコビレッジで出会って以来、オーガビッツとともに日本古来の和綿を伝える活動を行う「TokyoCottonVillage」。主宰する冨澤拓也さんは、2012年に日本で初めて糸紡ぎができるカフェ・バーをオープンした人だ。

畑での種まき・収穫イベントに、糸紡ぎワークショップを開催する冨澤さん。しかしその経歴は、「農」とは程遠いところから始まる。

冨澤さんは子どもの頃から音楽好き。高校生でドラムを始め、ミュージシャンを目指し上京。以来、音楽関係の仕事ばかりしてきた。

「ドラムはいろんなジャンルの人と演奏できるところが好き。ドラムのように『地道な作業が好き』『いろんな人といっしょにやりたい』っていうのは、あの頃からあまり変わってないかもしれませんね。
糸紡ぎをやるときは、テクノやハウス・ミュージックが合う。ドン・ツー・ドン・ツーっていうあのリズムが、ぴったりなんですよ。」

ニュースに感じた違和感 〜和綿との出会い〜

ジャズプロモーターを経てレコード会社で働き、広告制作会社に移ってからは音楽イベントのプロデュースなどを担当した。

和綿に出会ったのはその代理店時代。あるクライアントへのプレゼンのために、アイディアを集めていたときだった。

「リサーチ中にちょうど『日本初! 純国産のコットンTシャツが完成!』ってニュースが流れたんです。2007年の夏で、ちょうどアル・ゴア副大統領が『不都合な真実』を発表した頃でした。
ニュースを見てまず思ったのは『意味分かんない、どういうこと?』って。
コットンっていう、毎日身につける身近なものが、なんで日本で作られてなかったんだろうって。」

調べてたどり着いたのが、NPO法人・渡良瀬エコビレッジ。同理事長・町田武士さんに教わった事実は、冨澤さんにとって衝撃的だった。

自給率はほぼ0%で、現在国内で販売されている綿製品は全て外国産であること。

一口に綿といっても多種多様であり、繊維が長く乾いているアメリカ製に対し、日本のコットンは繊維が短く弾力性があり、衣服がしっとりと仕上がること。

明治以降、安価で輸入される海外産コットンの影響で、和綿の種自体が絶滅しかけていること……。

知れば知るほど居ても立ってもいられなくなった。早速クライアントへの提案に、和綿を守る活動を取り入れてプレゼン。イベントを開催することになり、参加者にも大いに楽しんでもらえた手応えを感じた。

イベント終了後も続けたいと、会社に勤めながら個人プロジェクトとして「TokyoCottonVillage」を立ち上げた。活動内容は日本産コットンの無農薬無肥料栽培や糸紡ぎ。同僚や友人、身近な人たちに声を掛けてのスタートだった。

退職後、カフェ・バーをオープン

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東京都世田谷区にお茶やお酒を楽しみながら糸が紡げるカフェバー「TokyoCottonVillage」をオープンしたのは、2012年の広告代理店退職後。退職の決断に迷いはなかった。

「広告代理店に入社してから13年間、CMを作るにもイベントをするにも、『どうすればモノが売れるか』ばっかり考える日々。それがだんだん、『なにか他の生き方ないのかな』と思うようになってたんです。
モノを売っては捨てて、また作って。それを何十年と続けてきて、明らかに悪い方向に世の中進んでいっているのに、なんで止まらない? なんで見直さない? って。そんな思いが拭えなかったんです。」

「TokyoCottonVillage」の店内は、カウンター席とテーブル席の15席ほど。毎日ランチタイムの後は、糸紡ぎワークショップを開催。遠くは北海道や九州といった、遠方から足を運ぶ人もいた。

ワークショップに参加した人の糸紡ぎ用スピンドルは店頭で保管し、次回来店時からは無料で糸紡ぎができるようにした。

時間を忘れてしまう糸紡ぎタイムのお供に、量もたっぷりのコーヒーや紅茶をカフェメニューに加えた。夜は夜で、近所に住まう著名ミュージシャンたちも糸紡ぎに訪れた。そしてみなでジャズやロックを演奏し、歌を歌った。

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(下段左・保管してあるお客さま用のスピンドル。またいつでも演奏できるよう、さまざまな楽器も店に置いてあった。)
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(店内でのワークショップの様子)


「忙しい時代の中で、市場原理に負けてなくなってしまったものはたくさんあるけど、やっぱり良いモノ、失っちゃいけないモノがある。それらを通してみると、『豊かさ』とはなんなのか、再認識できる。音楽もコットンも、僕にとってはそんな『フィルター』の一つなんです。」

オーガビッツと、コットンの過去・未来を伝えたい

これまで、のべ1000名以上の人々に純国産の綿を使った糸紡ぎを伝えてきたカフェ・バーは、2015年に残念ながら閉店した。しかし、冨澤さんは変わらず地道にワークショップや畑でのイベントを通じて、コットンと糸紡ぎを伝えている。

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2015年11月オーガビッツ共催のワークショップ・糸つむぎカフェにて)

「豊島株式会社さんは、コットンに関して長い歴史と高い専門性を持つ会社。これからもいっしょにコットンの過去を伝え、未来を作っていきたいですね。」

「TokyoCottonVillage」の糸紡ぎワークショップは、郊外にあるコットン畑に行けなくても、ふだんの生活圏で気軽に和綿や糸紡ぎに触れることができる貴重なチャンス。オーガビッツでは、今後「TokyoCottonVillage」とともにワークショップを開催していく。ぜひ、一度挑戦してみてはいかがだろう?

「TokyoCottonVillage」と共催のワークショップ情報は、オーガビッツのウェブサイト&Facebookで随時お知らせ中!

TokyoCottonVillage
Website:http://www.tokyocottonvillage.com/
Facebook:https://www.facebook.com/TokyoCottonVillage/

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オーガビッツの和綿プロジェクトについてもっと詳しく
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【レポート】オーガニックの和棉で糸つむぎ! オーガニックコットンで糸つむぎカフェ
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(文・構成|Fragments